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生田工場長が日本熱処理技術協会より技術精励賞を受賞 2025/5/21

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 日本熱処理技術協会の春季講演大会の中で、生田工場長が同協会の奥宮会長から技術精励賞を受賞しました。
 この賞は熱処理技術のみならず品質やプロセスの改善に寄与した人に贈られる賞です。

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 推薦書は以下の通り
 同氏は鳥取県に生まれ、1990年に鳥取県金属熱処理協業組合に入社し、技術課研究開発係長、技術課長などを経て、2016年から工場長を務めている。入社以来、熱処理の現場作業にも従事しながらIT化を推進し、業務の効率化や品質向上に大きく貢献している。
 IT化の事例として、1998年に受注支援システムを開発した。当時、受注作業は熱処理技能士が手書きで作業指示を行い、その後、会計ソフトに入力されていた。そこで同氏は、依頼品の情報や仕様を入力するだけで熱処理条件指示が可能になるシステムを構築し、業務の効率化を実現した。これにより、熱処理技能士でなくとも作業指示が出せ、顧客データベースから金額情報を自動で取得し、会計ソフトへの入力作業も簡略化された。その後、このシステムは同業他社から販売依頼を受けるほど高く評価された。
 2003年には、工程監視システムを開発した。それまで温度などのデータは設備に設置された記録紙で管理されていたが、同氏が中心となり、データをデジタル化し、リアルタイムで表示や過去データの出力が可能な集中監視システムを完成させた。このシステムにより、トレーサビリティの効率と精度が向上し、品質向上に大きく貢献した。
 2023年には、労務・購買・設備管理・作業のためのシステムを導入し、全職員にスマートフォンを配布した。これにより、出退勤管理、休暇申請、購買伺い管理、設備点検、異常報告などがデジタル化され、紙ベースの管理業務を大幅に削減することができ、業務効率化と職場の利便性向上に貢献した。
 熱処理技術者としても、2007年に「窒素化合物処理による可視光応答型光触媒の合成」に関する研究を発表し、2013年と2014年には「高周波焼入れ歯車の曲げ疲労強度」に関する研究を発表した。2012年には「可視光応答型光触媒の製造方法」に関する特許を取得し、2024年には「高周波加熱方法及び高周波加熱装置」の特許が公開された。
 これらの業績を背景に、2005年には「鳥取県高度熟練技能士(とっとりマイスター)」に認定され、技能者として高い評価を受けた。さらに、技能検定員としても長年活動し、2021年には鳥取県検定功労者として表彰された。また、2015年には日本機械学会機素潤滑設計部門の優秀講演賞を受賞し、2017年には日本材料学会中国支部技術賞を受賞した。以上より、同氏は技術精励賞の受賞者として相応しいと考える。